岩手県北上市の国見山では、出土した瓦が、失われた山岳寺院を考える手がかりになります。鬼瓦もその考古資料のひとつです。小さな建築のかけらから、かつてここに立ち並んだ建物へと目を向けることができます。

平安時代の山岳寺院
北上市によると、国見山廃寺跡は稲瀬町内門岡地区に位置します。1,000年以上前に栄えた山岳寺院で、お堂や塔の跡が確認されています。同市は、平泉の繁栄に先立つ北上盆地の重要な寺院とみています。古代の極楽寺にあたる可能性も示されていますが、確定した名称として扱うことはできません。
遺跡に目を向けるきっかけとなった瓦
北上市立博物館の解説では、1936年の道路改修工事で蓮華文の軒丸瓦片が見つかったことが、遺跡発見のきっかけとされています。その後の出土品も本格的な調査へとつながりました。2021年の同館の特別展では、国見山廃寺出土の鬼瓦が展示されています。この展示は終了しており、公開中の紹介ページは当時の記録です。
瓦の出土から分かること
文化庁の文化遺産オンラインでは、10世紀後半から11世紀を寺院の最盛期とし、12世紀に丘陵上の建物が急速に衰退したと説明しています。また、出土した瓦の量から、屋根は全面瓦葺きではなかったとしています。鬼瓦が見つかったという事実だけで、すべての建物が瓦で覆われていたと想像することはできません。
分からない部分も残しながら見る
鬼瓦は目を引く入口ですが、周囲の資料と合わせて考えることが大切です。礎石は建物の位置を、出土した瓦は屋根をめぐる疑問への手がかりを示します。それぞれを照らし合わせることで、かつての寺院の姿が少しずつ浮かび上がります。考古学が明らかにしたことと、なお残る問い。その両方に、国見山廃寺の魅力があります。
参考資料
- Kitakami City: Kunimisan temple ruins
- Kitakami City Museum: architecture and roof tiles, past exhibition
- Agency for Cultural Affairs: Kunimisan temple ruins
さらに楽しみたい方は、鬼瓦や魔除けの品に出会える鬼工房や、鬼瓦づくりを体験できるOnigawara Experienceもご覧ください。
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